2024年2月の投稿[22件](3ページ目)
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2024年2月1日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
振り返れば何という年明けだったろうか、個人的にも気の滅入ること続きで、祝うというよりは気を引き締める方に傾いた新年でした。
手放しでおめでとうございますとは言えないけれど、許された命を今年も生きましょう。
あっという間に2月に入ってしまった。今年は閏年なので29日がありますね。
2023年12月と2024年1月はあまり本を読みませんでした。
紙の本──
ナギーブ・マフフーズ「ミダック横丁」
:面白おかしさはいつも、奇妙な切なさと手を繋いでいる。ミダック横丁はいろんな意味で狭い場所なのだが、それでもどうしようもなく巨大な世界に取り巻かれているのでした。
カズオ・イシグロ「忘れられた巨人」
:鬼だの竜だのアーサー王の騎士だのが出てくるファンタジーで最初は戸惑ったが、良かった。これまでに読んだカズオイシグロ作品の中では「遠い山なみの光」と同じくらい好きかもしれない。原題は“The Buried Giant”、物語の比較的序盤で巨人の墓と言われている場所が出てきて、主人公たちは巨人を目覚めさせぬよう気をつけて歩く。タイトルにもなっている巨人への言及はそこだけなのですが、土の下に眠る巨人の大いなる沈黙、その恐ろしさと寂寥感とを読了後にひしひしと感じた。忘却の功罪。
コルタサル「八面体」
:「夏」「シルビア」が良かった。「対岸」に続いて短編小説論「短編小説とその周辺」も収録。コルタサルは本当に短編小説を愛していたんですね。
電子書籍──
ヘミングウェイ「老人と海」
prime readingに光文社古典新訳文庫版があったので読む。小川高義訳。大昔に読んだのは新潮文庫の福田恆存訳のはず。新潮文庫では新訳も出ていますね。
なお角川文庫でも新たに越前敏弥訳が出たばかり。サンチャゴが可愛がっている例の“the boy”について、どれくらいの年齢の人物なのか実は解釈が割れており、昔から議論されてきたということが光文社古典新訳文庫の訳者解説に書かれていたのですが、角川文庫の新訳はこれを少年でなく青年として翻訳した「新解釈版」なのだそうです。
太宰治「パンドラの匣」「十二月八日」
どんどん読むぞと思いつつも全然読めない文豪作品。青空文庫の本はKindle本形式になっているものが多くてありがたいです。
以上が #読了 。
オーディオブック(#Audible)──
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ「戦争は女の顔をしていない」
延々と続く証言。あらゆる面においてフェアであろうとする著者の姿勢を随所に感じながらも、本作ばかりを聴き続けるのはなかなかに堪え、中断し他をあれこれかじっては戻るような形でやっと3分の2ばかり聴いたかと。
番外編──
人に紹介してもらって井上ひさし「握手」(『ナイン』収録)を読んだらとてもよかったので他も読みたいと思った。中学校の国語の教科書に(何度か?)掲載されているようなのだが、全然記憶にない。載ってなかったのかな。読書好きには多いと思いますが、国語の教科書は配られたらすぐ隅々まで読んでしまう子供でした。
手放しでおめでとうございますとは言えないけれど、許された命を今年も生きましょう。
あっという間に2月に入ってしまった。今年は閏年なので29日がありますね。
2023年12月と2024年1月はあまり本を読みませんでした。
紙の本──
ナギーブ・マフフーズ「ミダック横丁」
:面白おかしさはいつも、奇妙な切なさと手を繋いでいる。ミダック横丁はいろんな意味で狭い場所なのだが、それでもどうしようもなく巨大な世界に取り巻かれているのでした。
カズオ・イシグロ「忘れられた巨人」
:鬼だの竜だのアーサー王の騎士だのが出てくるファンタジーで最初は戸惑ったが、良かった。これまでに読んだカズオイシグロ作品の中では「遠い山なみの光」と同じくらい好きかもしれない。原題は“The Buried Giant”、物語の比較的序盤で巨人の墓と言われている場所が出てきて、主人公たちは巨人を目覚めさせぬよう気をつけて歩く。タイトルにもなっている巨人への言及はそこだけなのですが、土の下に眠る巨人の大いなる沈黙、その恐ろしさと寂寥感とを読了後にひしひしと感じた。忘却の功罪。
コルタサル「八面体」
:「夏」「シルビア」が良かった。「対岸」に続いて短編小説論「短編小説とその周辺」も収録。コルタサルは本当に短編小説を愛していたんですね。
電子書籍──
ヘミングウェイ「老人と海」
prime readingに光文社古典新訳文庫版があったので読む。小川高義訳。大昔に読んだのは新潮文庫の福田恆存訳のはず。新潮文庫では新訳も出ていますね。
なお角川文庫でも新たに越前敏弥訳が出たばかり。サンチャゴが可愛がっている例の“the boy”について、どれくらいの年齢の人物なのか実は解釈が割れており、昔から議論されてきたということが光文社古典新訳文庫の訳者解説に書かれていたのですが、角川文庫の新訳はこれを少年でなく青年として翻訳した「新解釈版」なのだそうです。
太宰治「パンドラの匣」「十二月八日」
どんどん読むぞと思いつつも全然読めない文豪作品。青空文庫の本はKindle本形式になっているものが多くてありがたいです。
以上が #読了 。
オーディオブック(#Audible)──
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ「戦争は女の顔をしていない」
延々と続く証言。あらゆる面においてフェアであろうとする著者の姿勢を随所に感じながらも、本作ばかりを聴き続けるのはなかなかに堪え、中断し他をあれこれかじっては戻るような形でやっと3分の2ばかり聴いたかと。
番外編──
人に紹介してもらって井上ひさし「握手」(『ナイン』収録)を読んだらとてもよかったので他も読みたいと思った。中学校の国語の教科書に(何度か?)掲載されているようなのだが、全然記憶にない。載ってなかったのかな。読書好きには多いと思いますが、国語の教科書は配られたらすぐ隅々まで読んでしまう子供でした。
BBC One(2015)版のテレビドラマが面白かったので聴き始めたという経緯のため真犯人や動機などは知っているのだが、二周目の楽しさがあります。というか今までよく本作のネタバレを回避して生きてこられたなと思う。「オリエント急行殺人事件」は無理でしたが。
少し暖かくなったと思っていたら明日辺りからまた寒さが戻るようで。豆もまかなくてはいけない。
家に入ってこようとする“鬼”って何だろう。災いのような劇的なもの。悲しみの浸透圧のようなもの。
昨夜、入浴中にふと詩の断片が浮かんできたのだが書き留める前に溶けてなくなってしまった。