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No.97, No.87, No.79, No.78, No.77, No.76, No.757件]

幸運 #詩

冷たい汗に目醒めて

こみあげる胆汁の床へ手をつく

むくんだ春の朝

無痛に痺れた日差しの底で

清涼な液体の管が私を繋留している

キャスターつきの点滴台ではなく

いまにも

窓の外へ揺れはじめるべき夏の影へと

断片

ヴィトルト・シャブウォフスキ「踊る熊たち」を読み始めました。
「独裁者の料理人」がとても面白かったので期待。

呟き

原田マハ「楽園のカンヴァス」 #読了
売れに売れたアート・ミステリー。面白かった。ルソーが、間違えて描いた部分のみを描き直すことのできない不器用な性格であったというエピソードを出したあとに二枚目の「夢」の可能性を示唆するなど、話の組み立てが秀逸。

途中まで、面白いがそれだけで終わりそうな気もしていたのだが、登場人物達が「物語」を読み進めるにつれて印象的なシーンが増える。もちろんそれは実際の出来事ではないのだろうが、愚直に自身の芸術を信じた画家の生き様がこの作品に厚みをもたらしていると思った。
関係ないが、作者が原田宗典の妹ということをWikipediaで知った。

呟き

白水uブックス「アメリカ幻想小説傑作集」収録
ヘンリー・ジェイムズ「なつかしい街かど」(志村正雄訳)より #引用
「ああ!」とブライドンはたじろいだ──彼が自分の正体であると証明されたからか、彼の指が欠けているからか。それから「彼は年収百万ドル」と明快につけ足した。「でも、彼には、きみがいない。」
「だから彼は違う──そうよ、彼は──あなたじゃない!」と彼女はささやき、彼は彼女を胸に引き寄せた。

呟き