眠り #詩太陽光発電のパネルとキャベツ畑で大地を覆ってわたくしたちは眠りにつきます暗く涼しい土の中で目を閉じて横たわってまた起きられたらいいけれどわからないから手を繋いで誰も住まない団地のベランダ洗濯物がはためいています電車は律儀に基地へと帰り最後の水で洗われましたわたくしたちがつくったもの愛したもののこしたかったものかいた地図わたしにだけ朝が来てしまったらどうしよう土から這い出て、真っ暗闇に弱った手足でベランダへよじ登り誰かのバスタオルで体をつつんで裸足にキャベツ畑の土を踏む確かな冷たさを指先に見つけ外葉の夜露に喉を鳴らしてひと息ついて思うでしょうかとても、とても静かだとその日を思ってわたしはさびしいのです眠りにつく前からはやくもまぶたを夜露が濡らすほど 2023.12.9(Sat) 10:00:00 断片
太陽光発電のパネルと
キャベツ畑で大地を覆って
わたくしたちは眠りにつきます
暗く涼しい土の中で
目を閉じて横たわって
また起きられたらいいけれど
わからないから手を繋いで
誰も住まない団地のベランダ
洗濯物がはためいています
電車は律儀に基地へと帰り
最後の水で洗われました
わたくしたちがつくったもの
愛したもの
のこしたかったもの
かいた地図
わたしにだけ朝が来てしまったらどうしよう
土から這い出て、真っ暗闇に
弱った手足でベランダへよじ登り
誰かのバスタオルで体をつつんで
裸足にキャベツ畑の土を踏む
確かな冷たさを指先に見つけ
外葉の夜露に喉を鳴らして
ひと息ついて思うでしょうか
とても、とても静かだと
その日を思ってわたしはさびしいのです
眠りにつく前からはやくも
まぶたを夜露が濡らすほど