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#夢日記 2025年9月20日
ひどい夢だったので書き残すか悩んだが。

 様々な時代と場所が入り混じっては流れてゆく。私は(珍しく)夢の中の登場人物ではなく、映画館の一席に腰を下ろして目の前を流れゆくできごとを眺めているだけの暗い意識である。
 倉庫に床板だけの家がある。これから人の住処として整えられていくのだろう。太った中年の女と胡麻塩の髭を長く伸ばした男がビールの研究をしている。
 場面は変わり、こわばった顔の女がいる。東南アジア系、だが連れている子供が三人いて、黒人のイメージと混じって国籍はすぐにわからなくなる。いずれにしても有色人種だ。女は少年を二人、少女を一人連れている。ひどく顔色が悪い。小さい方の少年と少女は泣いている。近くに馬に乗った男たちの気配がする。よく見ると、女の手の指は切断されている。五本中五本、それぞればらばらの長さで、短くなった指がイモムシのように動いている。十代前半に見える少年も、五、六歳に見える下の男の子の小さな手までも。少女だけは身体に傷がないが、つまり強姦されたのだろうと私の意識は解釈している。
 これはひどい物語、目が覚めてぼんやり考えたことは、決して夢の中だけの話ではなく、誰かにとっての実体験であった可能性が十分にある、そういう類の話なのだ。あるいはもっとひどいことも。

断片

母の誕生日。実家で祝えることになるとは思っていなかった。美容液、ケーキはいいとして、クレパスで描いた似顔絵。ちょっと子供じみた贈り物もしてしまったが、喜んでもらえて嬉しかった。

日記

8月の #短歌 まとめ
珈琲にミルク注げば浮いている羽虫のあった友の新盆

ヘンゼルが光る白い石撒いたように来た道に愛を撒いておけたら

お題「夏休み」
知らぬ間にとまった日々を図書館のひとの多さが夏休みにする

カブトエビ育成キット山積みで寿命はおおよそひと月とある

置き去りのハートの浮き輪しぼみつつ夏のエアーを秋まで残す

断片

2025年8月の #読了
今月も長いので折りたたみ。というより今後ずっとそうなる気がする。

自分のために
純文学を2冊とホラー小説を2冊読んだ。特筆すべき事項として、読みたいリストに入れていたハン・ガンの「少年が来る」を読んだ。ハン・ガン作品はいつも、没入感のあとに押し寄せる巨大で重たい何かを引きずることになる。
◆小島:小山田浩子
「小島」「ヒヨドリ」「ねこねこ」「けば」「土手の実」「おおかみいぬ」「園の花」「卵男」「子猿」「かたわら」「異郷」「継承」「点点」「はるのめ」
前に図書館で借りたが殆ど読めぬまま返却した、と思っていたのだが、「かたわら」の途中まで読み進めていたことに気づいた。
心がざわざわする良作が多いのだが、なぜか、この時期少しスランプ気味だったのではと思ってしまう。もっと大きなものをこの人に期待しているせいか。大きなものを見いだすのは読み手にかかっているということか。 好きだった作品。
「けば」ひりつくような、しょうもない人間関係の一方、ゆったり死んだまま正体不明の毛羽立った存在に分解されゆく死骸の自由さ。
「土手の実」突然出現した樹になっていた正体不明の実。移ろいゆくもの。
未熟な猿真似の子育てを野生の猿に看破されているかのような「子猿」をそのように読む人はどれくらいいるのだろうか。
◆撮ってはいけない家:矢樹純
◆或る集落の●:矢樹純
「或る集落~」の発売前PRとして冒頭が公開されており、風景描写などの端正さもなかなかで面白そうだったので前作と共に借りてきた。同時に読んでいたのがハン・ガンなので描写がいいと言ってもやはり紋切り型の表現が目立つのは仕方ない。連作短編集「●」はなかなか味わい深い謎めいた余韻で好みだった。ばらばらに作られたものを共通の登場人物で繋ぐ手法で、すっきり謎解きがなされるわけではない。反対に、探偵役がいる「家」の方は次から次へと謎や不気味な事象が生じて終始緊張感があるが、全体を通じた主題のようなものは曖昧で、澤村伊智の比嘉姉妹シリーズのようなメッセージ性を期待すると少々物足りないか。
◆少年が来る:ハン・ガン
読みたいリストに入れていた一冊。ハン・ガンは「ギリシャ語の時間」「回復する人間」「菜食主義者」が既読、かな。光州事件を題材に、聞こえない声を丁寧に聴き取り、殺された者、生き残った者、何かを喪った者たちの断章を書く。文章力、という言葉は底が浅い気がして、特に文学作品に対しては使いたくないのだが、いやこれは文章力だ。文章の力であると思う。

塔のように積み重なる声。
 皆さん、赤十字病院に安置されていた、愛するわが市民たちが今ここにやって来ています。
 女性のリードで愛国歌の斉唱が始まる。数千人の声が、高さ数千メートルの塔のように幾重にも積み重なって女性の声を覆ってしまう。ひどく重々しく上昇した後に絶頂から決然と吹き下りるそのメロディーを、君も低い声でなぞって歌う。

何度も折って……。
 ソウル市役所前に着くと、体格のがっしりした私服警官が彼女の前に立ちはだかる。
 かばんを開けてください。
 こんな瞬間には自分の一部をしばらく引き離しておかなくてはいけないことを彼女は知っている。何度も折ってできた線に沿ってたやすく折り畳める紙のように、意識の一部が彼女から抜け落ちていく。恥ずかしがることなく、彼女はかばんを開けて中を見せる。ハンカチとアカシア味のガムとペンケースと仮製本、かさついた唇に塗るワセリンと手帳と財布が入っている。

投獄の記憶。
 だから、兄貴、魂なんてもんは、何でもないってことかな。
 いや、それは何かガラスみたいなものかな。
 ガラスは透明で割れやすいよね。それがガラスの本質だよね。だからガラスで作った品物は注意深く扱わなくてはいけないよね。ひびが入ったり割れたりしたら使えなくなるから、捨てなくてはいけないから。
 昔、僕たちは割れないガラスを持っていたよね。それがガラスなのか何なのか確かめてみもしなかった、固くて透明な本物だったんだよね。だから僕たち、粉々になることで僕たちが魂を持っていたってことを示したんだよね。ほんとにガラスでできた人間だったってことを証明したんだよね。

私にも覚えがある、トラウマをこんなに的確に表現した文章を他に知らない。
その夢すらも開いて外に出ると、ついに最後の夢が待っている。灰白色の街灯の下で暗闇を見つめながら、あなたは突っ立っている。
 目覚めに近づくほど、夢はそんなふうに残酷さが弱まる。眠りはさらに浅くなる。書道半紙のように薄くなってカサカサ音を立てているうちに、ついに目が覚める。悪夢なんかどうということもないと悟らせる記憶の数々が、静かにあなたの枕元で待っている。

光州事件で命を落とした、数えで15歳だった少年の母の声で物語──と言っていいのか──は終わる。
 どうしたことか、母ちゃんが三十路のときに末っ子のおまえを産んだんだよ。母ちゃんは生まれつき左の乳首の形が変てこで、おまえの兄ちゃんたちはお乳がよく出る右のおっぱいばかり吸ったんだよ。母ちゃんの左のおっぱいはぱんぱんに張るばかりで赤ちゃんが吸ってくれないものだから、柔らかい右のおっぱいと違ってすっかり硬くなってしまってね。そんなふうに左右が不ぞろいのみっともないおっぱいで何年か暮らしたんだ。でもおまえは違ってた。左のおっぱいを向けたら向けたなりに、変てこな形の乳首をほんとに素直に吸ってくれたんだ。それで両方のおっぱいが同じように柔らかく垂れ下がったんだよ。
 どうしたことかお乳を飲むときに、おまえはにこにことよく笑ったものだよ。においの良い黄色いうんちを布おしめにしたよ。動物の赤ん坊みたいに四つん這いであちこち動き回って、 何でも口に入れたよ。そうしているうちに熱を出したら顔が青ざめて、ひきつけを起こしては酸っぱいにおいのするお乳を母ちゃんの胸に吐いたものだよ。どうしたことか、おっぱいから離れたとき、おまえは爪が紙みたいに薄くなるまで親指をおしゃぶりしたよ。あんよ、こっちにあんよ、手をたたく母ちゃんの方に一歩、二歩とよちよち歩きをしたものだよ。にこにこしながら七歩あんよして、母ちゃんに抱っこされたんだよ。
 八つになったときにおまえが言ったんだ。僕、夏は嫌いだけど、夏の夜は好き。どうってこともないその言葉が耳に心地良くてね、母ちゃんはおまえが詩人になるかも、とひそかに思ったものだよ。夏の夜、庭の縁台で父ちゃんと三人兄弟がそろって西瓜を食べたときに。口元にべとべとくっついた甘い西瓜の汁をおまえが舌の先でぺろぺろなめたときに。

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子のために
◆どのはないちばんすきなはな?
◆ももも
◆ぱたぱたえほん
◆はしるのだいすき
◆スプーンちゃん
◆だーれのおしり?
◆はんぶんこ
◆でてこいでてこい
◆へびにゅにゅにゅ
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その他
今月もアレルギー関連の本を。
◆専門医ママが教える!子どものアレルギーケア:岸本 久美子
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#夢日記 2025年8月某日

 とある小さな町にいる。見渡す限り農場が広がり、狭い範囲に密集した町の中には学校がひとつ洋品店もひとつバーもひとつ、そんな田舎町だ。
 年に一度、おそらくはハロウィンの時期に、住民たちが集まって収穫祭を開く。私も町の住民なのでもちろん呼ばれている。私の家族(と私が考えている人々)も参加している。私たちは身内同士小さな輪になって踊るのだが、実は、踊る人間たちのあいだに悪しきものがまぎれこんでいる。悪魔のようなもの、邪悪な存在だ。どれがそうなのかは見てすぐわかる。私たちがくるくると回りながら踊っているあいだ、彼らはじっと立ち尽くしているからだ。顔は影になっていてよく見えない。
 ひとつ気をつけねばならないことがある。踊りながら、互いから手を離してはならない。はぐれた者には、邪悪な存在が速やかに近づいてくる。絶対に手を離してはならない。わかっているのに、踊りの輪が加速して、私は誰かと携えていた手を一瞬離してしまう。遊園地のティーカップのように、私の仲間たちは回転しながら離れていってしまう。慌てて追いかけようとする私の目の前に、それが、あいつが立っている。影になっていた口元が見える。笑っている。笑っている!
 そのとき、誰かの力強い手が私を引き戻してくれる。私たちは踊り続ける。手を離してはならない。互いから手を離してはならない。

断片

風邪をひいてしまい、熱はすぐ下がったものの長引く咳に苦しめられていた。激しい咳込みのためか腰痛まで出現。病院に二度行き、新型コロナウイルスは陰性で、二度とも咳止めなどの薬を出してもらい帰宅。ようやく咳も腰痛も落ち着いてきた。

日記