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No.192

#夢日記 2025年8月某日

 とある小さな町にいる。見渡す限り農場が広がり、狭い範囲に密集した町の中には学校がひとつ洋品店もひとつバーもひとつ、そんな田舎町だ。
 年に一度、おそらくはハロウィンの時期に、住民たちが集まって収穫祭を開く。私も町の住民なのでもちろん呼ばれている。私の家族(と私が考えている人々)も参加している。私たちは身内同士小さな輪になって踊るのだが、実は、踊る人間たちのあいだに悪しきものがまぎれこんでいる。悪魔のようなもの、邪悪な存在だ。どれがそうなのかは見てすぐわかる。私たちがくるくると回りながら踊っているあいだ、彼らはじっと立ち尽くしているからだ。顔は影になっていてよく見えない。
 ひとつ気をつけねばならないことがある。踊りながら、互いから手を離してはならない。はぐれた者には、邪悪な存在が速やかに近づいてくる。絶対に手を離してはならない。わかっているのに、踊りの輪が加速して、私は誰かと携えていた手を一瞬離してしまう。遊園地のティーカップのように、私の仲間たちは回転しながら離れていってしまう。慌てて追いかけようとする私の目の前に、それが、あいつが立っている。影になっていた口元が見える。笑っている。笑っている!
 そのとき、誰かの力強い手が私を引き戻してくれる。私たちは踊り続ける。手を離してはならない。互いから手を離してはならない。

断片