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No.90

encouragement #詩

死者は毎朝あたらしく生まれる

陽気な鳥のようにさえずりながら

私の朝を飛び回る

さあ湯を沸かせ、コーヒーを淹れろ

ねむたい眼をこすって

ほら、始まりは大概ひどいものさ


昼のあいだ死者は戸口に立って

遠い街並みに目をみはっている

ときおり振り向くのは、ふと愉快になったからだ

あのときは実におもしろかったな

そう思わないか? 忘れてしまったのか?

ひかる小石を集めたじゃないか?


夜更け、白い花々に埋もれながら

死者の青ざめたくちびるが

影の天井につづる歌へ、さあ耳をすまし

水底の響きに弱々しい鼓動を横たえて

眠れ、

不安な夢からさめた幼子のように

かわいた眼をふたたび涙でいっぱいにして。

断片