ついに結婚式の日がやってきました。空は青くはれわたり、いつもよりもあつい日になりそうでした。野ばらの村の家の台所は、どこもあさから大いそがし。
つめたいクレソンのスープや、つみたてのタンポポのサラダ、ハチミツのクリームや、シラバブや、生クリームのケーキなど、どの家のねずみたちも、夏にぴったりな料理をつくっていました。
絵本の扉の向こうに、何度でも心が帰ってゆける場所があるというのは、なんと幸福なことでしょうか。パペログ給仕長のパペレオンです。
本日は、イギリスの絵本作家ジル・バークレムが描き出した小さなユートピア「野ばらの村」シリーズ全8冊をご紹介します。
春夏秋冬、働き者のねずみたちが作るさまざまな食べ物と飲み物を通じて、彼らの温かく満ち足りた日々をお届けしたいと思います。
美しい英国の四季とねずみたちの小さな世界
「野ばらの村」の誕生まで
1951年、作者のジル・バークレムはロンドンのはずれにあるエピングという町に生まれました。南に広々とした森があり、野原や茂み、小川などに囲まれたこの自然豊かな町で、彼女は木々や草花、小さな生き物たちに繊細なまなざしを向ける物静かな少女として育ちます。13歳のときに網膜剥離になり運動などを制限される中で、美術や生物学への関心が育まれていきました。
イギリス・エピング生まれのわたしにとって、大学時代の地下鉄の通学は苦痛でした。そこでわたしは目を閉じ、ある世界を空想していました。それが野ばらの村です。以来、それは、ずっと心の中にあって、わたしにとっての理想郷でした。
上の引用は、作者がロンドンにある美術学校へ地下鉄で通学した四年間に言及したものです。満員の息苦しい電車の中で、彼女は幼いころから親しんだ自然豊かな風景を思い浮かべ、その中に穏やかで美しいひとつの共同体を夢想するようになりました。このイメージが後の「野ばらの村」(原題では──“野ばらの生垣”)の構想として育っていったのです。
光と色彩あふれる野ばらの村の暮らし
野ばらの村は、可愛らしいねずみたちの暮らすのどかな村です。彼らは草原の一角で、樹木や切り株の内部に住処をつくって暮らしています。
作品の中には時々、ねずみたちの住居の断面図が出てきます。ちょうど、アリの巣観察キットを眺めるような具合です。
トンネル状に入り組んだ廊下や階段、寝室や居間、子供部屋、キッチンにダイニング、バスルーム、物置部屋や地下の貯蔵庫など……。
それらの中には可愛らしい小さな家具が並び、暖炉にはあかあかと火が燃え、台所の棚にミニチュアサイズの食器や保存食品の小瓶などがびっしり収められている様子が見て取れます。キッチンの作業台ではジャムが煮詰められ、布巾で覆われたプディングが蒸し上げられ、お菓子の生地が混ぜられています。
緻密に描き込まれた内部を眺めているとつい時間を忘れてしまいます。人形の家やミニチュアの小物を見るのが好きな人には堪らないこれらの挿画、幼い頃、私も大好きでした。もちろん今もです。
ねずみたちの日々をクローズアップしたイラストはどれも、美しい四季の色彩にあふれています。
出版社へ「野ばらの村」の構想やスケッチを持ちこんだ当初から、作者は春夏秋冬の四つの季節を4冊の小型の絵本にすることを考えていたようです。最終的に、シリーズは8冊になり、春夏秋冬の作品が各2冊となりました。
表紙はそれぞれ、夏はキイチゴ、秋はブラックベリー、冬はヒイラギといった具合に季節の植物で縁取られています。
色遣いもまた、それぞれの季節に合わせて繊細に調整されているのが見て取れます。
たとえば同じ赤色でも、春は彩度を落としたやわらかな色合い。夏は明るく、秋はこっくりと深く、冬は暖かみを感じさせる色調です。
ページをめくるごとに、春のやわらかな日差し、夏の明るい光、秋の澄んだ風に、冬の澄んだ冷たい空気が流れ出してくるようです。
前置きが長くなってしまいました。ここからは、シリーズ全8冊の内容を、登場する食べ物や飲み物、断面図のリストと共にご紹介します。
ねずみたちの物語と食卓
「野ばらの村のピクニック」
トードフラックス家のウィルフレッドは、活発でいたずら好きな男の子。今日はそんなウィルフレッドの誕生日です。 村の食料品などを貯蔵している「きりかぶぐら」の番人アップルおじさんは、彼のために「びっくりピクニック」を計画。 のばらの村のねずみたちは大張り切りでピクニックの準備をします。
それぞれが食べ物や飲み物、敷物などを持ち寄って開催するピクニックは大規模で華やか。ウィルフレッドは重たいバスケットを運んですっかり疲れてしょんぼりしてしまうのですが、バスケットを開けてみると、そこには……。
野ばらの村の助け合いや優しさにあふれた雰囲気がよく伝わってくる第一作です。
アップルおじさんとアップルおばさんが住んでいる野リンゴ荘の断面図があります。食料貯蔵庫と思われる部屋の棚や、酒樽のようなものが積まれた地下室などが見ていて楽しいです。
「野ばらの村のピクニック」に登場する食べ物
- アップルおばさんが淹れるお茶
- きりかぶぐらに貯蔵してあるクローバー粉やハチミツ、キイチゴのワイン、ケシの実
- ピクニックのごちそう──アップルおばさん特製のサクラソウのプディング、きりかぶぐらのワイン番バジルが見繕ってくれたバラの花びらのワイン、アイブライトおばあさんが持ってきてくれた何かの砂糖づけ、チーズ小屋のポピーが持ってきてくれたチーズと粉ひき小屋のダスティが持ってきてくれたパン、カリカリおばさんが作ってくれた特製のバースデーケーキ
「野ばらの村のけっこんしき」
チーズ小屋のポピーと粉ひき小屋のダスティは、暑い夏の日に川辺で涼んでいたのをきっかけに出会います。
めでたく婚約した二匹と、野ばらの村の仲間たちは、素晴らしい結婚式のためにさまざまな準備をします。
ダスティは友人たちと共に大きな平らな木の皮を小川に浮かべ、結婚式の会場にします。水上のセレモニーとは何ともおしゃれ。ポピーは花嫁衣装に刺繍をし、ついに晴れの日を迎えます。
うっかり晴れ着を粉だらけにしてしまう新郎のダスティと、どうにかしてやろうとしてどうにもならず、一緒に笑ってしまう親友のコンカーのやりとりが何とも若者らしくて爽やか。結婚式ではとあるハプニングが起こるのですが、それもまた式を盛り上げる要素となるのでした。
登場する断面図はポピーが取り仕切っているチーズ小屋と、ダスティの粉ひき小屋。チーズ小屋では、仲の良い雌牛に分けてもらったミルクをチーズに加工しているのですが、材料をかき混ぜている部屋、布で包んだチーズを吊るして水切りしている部屋、できあがった丸い大きなチーズを棚に並べて熟成させている地下の様子などが見て取れます。
「野ばらの村のけっこんしき」に登場する食べ物
- 結婚式のごちそう──つめたいクレソンのスープ、つみたてのタンポポのサラダ、ハチミツのクリーム、シラバブ、生クリームのケーキ
「野ばらの村の秋の実り」
実りの秋、野ばらの村は取り入れに大忙し。きりかぶぐらは、おいしそうなキイチゴのジャムやパンの香りでいっぱいです。
カシの木やかたに住む森ねずみ男爵と娘のプリムローズはブラックベリーの藪へ収穫に行きます。そのあと、男爵とデイジィ夫人はキノコ狩りを手伝うことにしてプリムローズを先に帰すのですが、プリムローズは寄り道をしたすえ迷子になってしまいます。
プリムローズのささやかな探検が少しずつ不安を帯びたものになり、やがて日も暮れてしまって……。幼い日に迷子になった心細さと、保護者に再会できたときの安堵が蘇るような、どきどきに満ちたお話です。
それにしてもカシの木やかたのキッチンは、いつ見ても素敵です。色とりどりの蓋の小瓶、カゴいっぱいのブラックベリーにスピノサスモモの実、さまざまな調味料……細かな描き込みに惹き込まれます。
プリムローズが探検中に見つけるムギの茎の上につくられた草編みの丸い家はカヤネズミのもの。小さ具素朴な住処ですが、断面図では寝室とリビングに分かれた居心地のよさそうな内部が観察できます。3段のケーキスタンドと、キルトのティーコージーが可愛らしいです。
プリムローズが迷い込んだ奇妙なトンネルは奥がとても深く縦横に通路と部屋が広がっていて、断面図はまさにアリの巣を覗き込むような感じ。
「野ばらの村の秋の実り」に登場する食べ物
- きりかぶぐらの貯蔵品──ブラックベリーの実、スピノサスモモの実、キノコ
- カヤネズミの老夫婦がふるまってくれたケーキとお茶
- プリムローズのお母さんが淹れてくれたあつあつのドングリコーヒー
「野ばらの村の雪まつり」
野ばらの村に雪が積もりました。アイブライトおばあさんが若い頃に見たもの以来という大雪です。
ねずみたちは、アイスホールを作って雪まつりのダンスパーティーを開催することにしました。雪を掘って空洞をつくり、氷で飾りつけをしていきます。ごちそうを作り、おめかしをしてアイスホールに集合。
寒くても心温まる雪まつりの始まりです。
地面が深い雪に埋もれてしまうという逆境を、団結をいっそう強める契機へと変えてしまうねずみたち。雪まつりの開催にあたってアップルおじさんが朗読する詩も感動的です。
登場する断面図は雪降るシデの木のもの。ウィルフレッドはじめ、トードフラックス家の子供たちは雪に興味津々です。
「野ばらの村の雪まつり」に登場する食べ物
いっぽう、野ばらの村の家の台所は、どこのだんろもさかんに火がもえていて、みんなは、いそがしくはたらいていました。だんろのなべでは、あたたかいスープやフルーツポンチや、プディングがグツグツと煮こまれ、オーブンでは、パイがこんがりと焼けていました。
- アップルおばさんが寒い日々に備えて作っているパイやケーキやプディング
- トードフラックス家の夕食──あつあつのクリのスープ
- トードフラックス家の朝食──焼きたてのバタつきパンとブラックベリーの葉っぱのお茶
- 雪まつりのごちそう──あたたかいスープ、フルーツポンチ、プディング、パイ、大きなケーキ、子供たちを寝かしつけたあと大人たちにワイン番のバジルがふるまってくれるあたたかいブラックベリーのポンチ
大きなケーキがとりわけ豪華でおいしそう。きのみが飾りつけられ、すみれ色やラズベリー色やピンク色のクリームでデコレーションされています。
「フルーツポンチ」は「パンチ(ポンチ、ポンチ酒とも)」にフルーツや果汁を加えたもの。元はアルコール入りなわけですが、ノンアルコールのものも一般的になっています。
雪まつりの食卓に並んだのは子供たちも楽しめるノンアルコールのポンチで、子供たちが眠ったあとにバジルが作ってくれたのは大人向けのアルコール入りポンチなのかもしれません。
バジルのポンチは大鍋にたっぷり入って、小粒の林檎が入っているように見えます。イギリスの林檎は直径5〜6cmと、手のひらにおさまるくらいの小さなものが多いようですが、それよりさらに小さく、ねずみたちにとっては人間から見た小玉スイカくらいのサイズです。
「野ばらの村のひみつのへや」
冬至まつりで暗唱する詩の練習をするウィルフレッドとプリムローズ。
練習に向いた場所を探しにカシの木やかたの物置部屋へ上がっていった二人は、物置部屋の奥の壁に小さな扉を見つけます。扉の錠には、プリムローズが見つけた鍵がぴったり。
開けてみると、扉は時の止まったような不思議な屋敷へと続いていたのでした。
カシの木やかたの上方には物置部屋がいくつもあって、デイジィ夫人はそこに使わないものを山程しまいこんでいるんですね。子供用のおもちゃや服、布など……隅々まで眺めると面白いものがたくさん隠れています。
「ひみつのへや」の冒険を終えた2匹が冬至まつりで暗唱する“冬至”という詩がまたいいですね。アイスホールを作った雪まつりもそうでしたが、ねずみたちにとって冬は必ず訪れるものであり、恐れるのではなく手に手を携えて迎え入れるもの。その先に、待ちわびた明るい季節があるのです。
丸太は、大広間のだんろのなかにいれられました。そのあと、ゆげがたつフルーツポンチのうつわがみんなにくばられました。
そして、丸太に火をつける役のアイブライトおばあさんが、火のついたほそながいロウソクをたかだかとかかげ「つぎの夏へ!」とこえをあげました。
「つぎの夏へ!」ほかのねずみたちも、こえをあわせていいました。
断面図は、物置部屋の奥に続いていたお屋敷の内部と、それを含めたカシの木やかた全体のふたつ。カシの木やかたの全貌が描かれるのは初めてですが、こんなに立派な大広間があったんですね。
「野ばらの村のひみつのへや」に登場する食べ物
- デイジィ夫人が作っているキャラウェイのビスケット
- デイジィ夫人がウィルフレッドとプリムローズに持たせてくれたお弁当のパンとチーズ、水筒入りのブラックベリーのジュース
- 冬至まつりで配られた湯気のたつフルーツポンチ
「野ばらの村のふねのたび」
夏のはじめ、野ばらの村は予期せぬ塩不足に。
ダスティ、ポピー、ウィルフレッド、プリムローズの4匹は、海辺のねずみたちに塩をもらうため、船で川を下っていきます。
途中、船が浅瀬に乗り上げてしまうといったトラブルがありつつも、海辺に到着。
広々とした海にウィルフレッドとプリムローズは息を呑みます。
野ばらの村の外、それも海辺に暮らすねずみたちの様子が描かれる本作。普段は海辺に住む彼らのほうが川をさかのぼってきて塩をくれるんですね。ポピーが持参した食べ物などを渡すシーンから、物々交換が成立しているのだろうと思います。今回は不測の塩不足ですから、野ばらの村の方から塩をもらいに行くというわけです。
海辺で塩を分けてくれるのはソルトアップル家というねずみの一家。パースレインさん、スリフト奥さん、子供たちのペブル、シェル、シュリンプ。海辺のねずみたちですから、名付けも海にちなんだものになっています。海辺に滞在する数日間は、浜で遊んだり、海辺の暮らしと草原の暮らしの違いについて話し合ったりと、互いについて理解を深める良い機会になりました。
「そら、プレゼントだ」そのとき、ペブルがいいました。「こいつは、とくべつな貝がらなんだ。耳にあてると、波の音がきこえるんだぜ。波の音をきけば、またここにこようって気になるだろ?」
登場する断面図は、ソルトアップル家の崖に掘った住居と、ダスティの船ペリウィンクル号の内部。
野ばらの村の一行が泊めてもらうソルトアップル家の住処は、内装や家具が海辺仕様。貝殻の柄のカーテンや、タツノオトシゴの木馬が可愛らしいです。ペリウィンクル号は小さい船ですが、二段ベッドのある寝室や小さな食堂、キッチンなどがぎゅっと詰めこまれています。
「野ばらの村のふねのたび」に登場する食べ物
- アップルおばさんが海辺のねずみたちのために用意したハチミツ入りケーキとイチゴジャム、スミレの砂糖づけ
- 海辺のねずみたちにごちそうになった海藻やアッケシソウ
アッケシソウは塩分の強い水辺に育つ植物で、シー・アスパラガス等の別名があります。イギリスでは茹でて食用にされるそうですが、塩気がきついのでわざわざ塩抜きのために茹でこぼすのだとか。
「野ばらの村のやまのぼうけん」
秋の終わり頃、はたおりねずみのリリィとフラックスは、毛布を虫に食われてしまったハイ・ヒルズのはたねずみたちに新しい毛布を届けることに。
黄金を求めてハイ・ヒルズの頂上をめざすという冒険譚に夢中になっていたウィルフレッドは、リリィとフラックス、そして道案内のアップルおじさんについていきます。
ところが帰り道、予期せぬ出来事が起こって、アップルおじさんとウィルフレッドは山の上で夜を明かすことに。
海辺に住むねずみたちの次は、山の上に暮らすはたねずみたちが登場します。彼らの住居は、草原のねずみたちのものとは異なり質素な印象。ワラビでできたベッドなど、山の上ならではの内装です。
さて、ハイ・ヒルズの山頂をめざす冒険譚に魅せられたウィルフレッドは、そんなものいらんぞとアップルおじさんに言われながらも、本に出てきた山登りの必需品を担いでいくんですね。ロープや笛、火おこし棒、やかん、フライパン、毛布など……もちろんこれが役に立つわけです!
さらにウィルフレッドは、山の上でちゃんと「黄金」を見つけます。もちろん希少な鉱物のあの黄金ではないわけですが……。
「大冒険だったわね!」おかあさんはそういって、ウィルフレッドのどろだらけの服をぬがせ、かおと手をふいてくれました。
本作には断面図は登場しませんが、大きなスケールで描かれた山の風景は見応えがあります。さまざまな染料や糸、可愛らしい織物などでいっぱいのリリィとフラックスの仕事場も素敵です。
「野ばらの村のやまのぼうけん」に登場する食べ物
- アップルおばさんがはたねずみたちのために用意したハチミツとチーズとプディング
- 山登りのお弁当のサンドイッチ
- はたねずみたちの家でごちそうになったあたたかいビルベリーのスープ
- はたねずみたちの山での厳しい生活の話を聞きながら食べた朝ごはん──ナナカマドのジャムをぬったオートケーキ
- ウィルフレッドが持ってきた冒険のための食料──チーズ、パン、ハチミツ入りケーキ
「野ばらの村のおひっこし」
ポピーとダスティのあいだに可愛い3匹の子ねずみが生まれました。
ところが粉挽き小屋は子育てに不向きで、ポピーはくたくた。
ダスティは皆の助けを借りて、引っ越しに向けた準備を始めます。
シリーズ最後の作品は新たな世代の誕生をめぐる祝福の物語です。
可愛い子供たち──ローズ、ピプキン、バターカップ──に恵まれるも、一日中ガタゴト水車のまわる粉ひき小屋で赤ちゃんを育てるのは至難の業。やっと寝たと思ったら騒音で起きてしまうのがいかにストレスフルか、察するに余りあります。
アップルおじさんの発案で、ダスティはじめ村のねずみたちは、今は使われていない住居を住みやすく整えることにしました。完成するまでポピーには内緒。
個人的には、サプライズにしたい気持ちはわかるけど、そこはポピーの意見も取り入れてあげてよと思ってしまいますが(笑)、村の皆は互いのよき理解者ですから、無事、最高のおうちができあがったようです。
命名式の様子は感動的。野ばらの村はこうして続いていくのでしょう。
断面図
「野ばらの村のおひっこし」に登場する食べ物
終わりに(参考文献ほか)
本記事で取り上げているジル・バークレムの生い立ちや「野ばらの村」誕生の経緯など、背景情報の多くは「のばらの村をたずねて:ジル・バークレムの世界」(講談社、1997)を参考にしています。
同書は作者ジル・バークレム本人が監修に携わっている、いわば公式ファンブックのようなもので、残念ながら絶版のようですが、シリーズのファンは一読の価値がある内容です。
作者の経歴や「野ばらの村」が世に出るまでの話、ゲストのコラム、野ばらの村百科事典(登場する住居やインテリア、食べ物、服飾などを事典形式でまとめたもの)などのほか、作者のアトリエと数々のスケッチ、モデルとなった場所や樹木、国内外で製作された関連グッズまで、豊富な写真を収めます。
というわけで今日は、小さなねずみたちの豊かな食卓をそっと覗いてみました。
誰もが優しく温かい理想郷。現実に疲れたときは、つかの間の安息を求めて「野ばらの村」を訪れてみるのもいいかもしれません。
パペログ給仕長 パペレオン