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2023年8月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

Twitter→Xとの距離感を見失い個人用マイクロブログにひきこもって約一か月。
前のTwitterが好きだったとかXは私物化されていて嫌だとかいうわけではなく、そもそも昨今のSNSはやはり私にはノイズが多すぎるのかもしれないということを改めて感じて冷めたというか。

読書アカウント界隈というのはそれでも、素朴な「好き」や承認稼ぎのためでない誠実な情報発信がまだまだ残っている世界で、だからこそXという商業地区化されつつあるSNSではなくて、もっと速度の合う場所があるんじゃないかと感じている。
求めている情報の内容および質と、SNSの速度や賑やかさの感覚が合ってさえいれば、Twitter→ XでもTikTokでも YouTubeでも、よかったわけなんですが。

「タイパ」、タイムパフォーマンスの時代に本など読んでいる人間の方がそもそも少数派なんだろうとは思います。
逆に、普段速い世界で生きている人たちにアプローチするためにはそういうSNSを戦略的に使っていくべきなんだろうとも。
そういうことはちょっとやってみたいかもしれない。

呟き

骨つき肉 #詩

いつもの精肉売り場

あなたの肩肉がパッケージされていた

うす切りの

二割引きで


買ったけれど、台所

煮ていいのか

焼けばいいのか

思わず冷凍庫にしまいこんで


息をついた

明日は売っていますか

あなたのもも肉、すね肉、ばら肉

タンにホルモン、目玉、ハツ


うす濁りの水をシンクにあけて

今日も新しくしてやります

花弁が色褪せるより先に

根が腐るなんて、怠惰だろうから


あれから何度かよっても

精肉売り場にあなたは見当たらず

わたしは手ぶらで帰る

そうしてだんだん痩せる


やはり食わねばならぬのか

冷凍庫あけて

そっけないピンク色した

うす切りの二割引きの


あなたに下味をつけて

フライパンでしっかり焼いて

食べましょう、食べるとも

だから明日こそは売っていますか


あの日わらいながら動かした

大きなあなたの影

暗い、名前のない

ひとのかたちした骨つき肉

断片

永遠に咳が出てうんざりするが体力が落ちすぎないよう少しずつ体を動かしています。
詩をたくさん書き溜め、特に気に入ったものを集めて私家版の詩集をつくりたいと考えている。

日記

初恋 #詩

スプーンにのせた心臓が

どくどく

震えていました

陽の透けた髪

かすかな空調の音

ざわめき、街の


溶けてしまいたかった

夏よりもはやく


一秒後にきっと

氷が鳴るんだろうって

どうしたわけか

わかっていたから

断片

まだ咳が出る。詩を書いています。
大昔に書いていた詩のノートなど見ると幼さに苦笑してしまうのだが、9歳のころから詩を書いていたという事実はただ「おまえは本当にこれが好きなのだ」と囁いてくれるので少し心が安らぐ。

日記

「アルヴァとイルヴァ」、これまで読んだエドワード・ケアリー作品の中で一番面白かったのではという気すらしているのだが、なぜ復刊されないのだろう。

呟き

夏の解剖 #詩

西瓜の種を指先で

ほじくり出して白い皿に落とす

硬質なピアニシモの納骨

樹の影が揺れる

また手をよごす

うすく赤く甘く

唇は濡らそう、果汁に汗に

貪欲なまでの無頓着さで


ふと

思い出しただけのように

さりげない調子で

しばらく前に席を立った

あなたの分にもほら、塩をひとつまみ

百万年前の海水を

かわかした

ものです。

断片